渋沢栄一ゆかりのまち【深谷】で旧煉瓦製造施設を見学

 

 

まえがき

 

事前知識なしに深谷駅へ降り立つと、駅舎の姿に驚くことと思います。

 

f:id:shirahashi0531:20180623141544j:plain

 

何だか東京駅に似ている…。

それもそのはず、深谷駅は東京駅の赤レンガ駅舎をモチーフにして造られているからです。

もちろん東京駅がかっこいいから真似して造ったとか、そんな軽い理由ではありません。

東京駅と深谷駅。

この2つの駅は、歴史的にも深いかかわりがあるのです。

 

遡ること約130年前。

明治政府は、欧米列強に対抗するため日比谷周辺を近代的建築による官庁街とする「官庁集中計画」を立ち上げ、1886年(明治19年)に臨時建築局を設置します。

官庁舎の建設には良質なレンガが大量に必要となるのですが、財政的には厳しい状況。

そこで明治政府は、実業家の渋沢栄一に大量生産が可能な機械式レンガ工場の設立を要請しました。

 

渋沢栄一の出身地である埼玉県深谷市は、昔から瓦の生産が盛ん。

レンガに適した良質な粘土が採れ、また利根川を通って舟で東京方面へと運べるルートを見込めることから、実家近くの上敷免村を工場建設地として推薦、日本煉瓦製造株式会社が設立されることになりました。

 

東京駅は、その日本煉瓦製造で作られたレンガを使って建設された建物です。

深谷駅が1996年に改築される際、そういった繋がりから今の姿になったのでした。

改築費用は35億円。

レンガが線路上に剥落する可能性が指摘されたため、深谷駅自体はレンガ造りではなく、コンクリートにレンガ風のタイルが貼られています。

 

深谷市には、当時使われていたレンガを焼くための窯や渋沢栄一の記念館などがあり、バスを使って巡ることが出来ます。

 

JR深谷駅北口から乗車する、深谷市コミュニティバス・くるりん北部定期便。

車体にデザインされている深谷市のイメージキャラクター・ふっかちゃんが目印です。

料金は1日200円。

f:id:shirahashi0531:20180623141653j:plain

料金箱に前払いでお金を入れると、横の機械からレシートのような一日乗車券が出てきます。

次に乗る時はこれを運転手さんに見せればOK。

降りたいバス停でボタンを押すのは通常のバスと同じです。

注意点はバスが一方向にしか走っていないこと。

本数は1時間に1本です。

 

今回、旧煉瓦製造施設の見学をしてきたので紹介します。

 

旧煉瓦製造施設

 

  • バス停:せきね商店前

 

旧煉瓦製造施設の展示内容

 

▼旧事務所

f:id:shirahashi0531:20180623141727j:plain

まずはこちらの建物に立ち寄ります。

記帳を済ませると、係の方が「ホフマン輪窯6号窯」へと案内してくださいます。

 

▼ホフマン輪窯6号窯

f:id:shirahashi0531:20180623141857j:plain

ヘルメットをかぶり、窯の中へ。

ドイツ人ホフマンが考案し、レンガの連続焼成が可能な窯です。

以前は日本全国に50基ほどありましたが、現在では4期しか残されていない貴重なものです。

 

f:id:shirahashi0531:20180623141804j:plain

f:id:shirahashi0531:20180623141827j:plain

上にあいている投炭孔から粉炭を投入して焼いていきます。

 

f:id:shirahashi0531:20180623141934j:plain

18の窯が楕円に連なっている様子。

 

f:id:shirahashi0531:20180623142039j:plain

f:id:shirahashi0531:20180623142059j:plain

f:id:shirahashi0531:20180623142114j:plain

最盛期には6基が稼働していましたが、5号機が火事で焼失してしまい、6基すべてが稼働していた期間は短かったとのこと。

 

▼専用鉄道

f:id:shirahashi0531:20180623142136j:plain

f:id:shirahashi0531:20180623142203j:plain

レンガの大量輸送を可能にするため、深谷駅から工場までの約4kmの区間に日本初の専用線が敷かれました。

これによって舟で4~5日かかっていた輸送が1日に短縮されたそうです。

 

▼日本煉瓦製造のレンガが使われた建物

f:id:shirahashi0531:20180623142255j:plain

赤坂離宮、東京駅、丸の内の街並。

他に司法省(法務省)、日本銀行、東京大学などがあります。

 

▼レンガに押されていた刻印

f:id:shirahashi0531:20180625101531j:plain

 

▼旧変電室

f:id:shirahashi0531:20180623142327j:plain

 

▼備前渠鉄橋

f:id:shirahashi0531:20180623142348j:plain

f:id:shirahashi0531:20180623142405j:plain

専用鉄道の跡。

現在は遊歩道になっており、深谷駅へと続いています。

 

ホフマン輪窯6号窯、旧事務所、旧変電室、備前渠鉄橋は国の重要文化財に指定されています。

 

旧煉瓦製造施設の基本情報

 

名称 日本煉瓦製造株式会社 旧煉瓦製造施設
住所 〒366-0029 埼玉県深谷市上敷免28-10
TEL 048-577-4501(深谷市教育委員会 教育部文化振興課) ※土日祝は休み
時間 毎週土曜日・日曜日(年末年始を除く)
料金 無料
駐車場 あり
交通機関 深谷駅からコミュニティバス・くるりん北部定期便で20分
HP http://www.city.fukaya.saitama.jp/kanko/rekishi/bunkazai/1434697261895.html

 

今回は未訪問ですが、渋沢栄一に関する施設が同じルートに2つあるので紹介します。

それぞれ次のバスが来るまでの間に見学可能なようです。

 

渋沢栄一記念館

 

  • バス停:渋沢栄一記念館
  • 見学時間:午前9時~午後5時(休館日:年末年始)

 

1982年、渋沢栄一の旧邸「曖依村荘」跡に設立された登録博物館。

渋沢栄一に関する資料を収蔵・展示している。

 

誠之堂・清風亭

 

  • バス停:大寄公民館
  • 見学時間:午前9時~午後5時(休館日:年末年始)

 

誠之堂は、1916年(大正5年)渋沢栄一の喜寿(77歳)を祝って第一銀行の行員たちの出資により建築された建物。

清風亭は、1926年(大正15年)渋沢栄一に認められ第一銀行第2代頭取となった佐々木勇之助の古希(70歳)を記念し、清和園内に誠之堂と並べて建てられた建物。

1999年世田谷区から深谷市へ移築された。

 

3つの施設を回っても、バス代1日200円。

しかも、どの施設も見学は無料です。

旧煉瓦製造施設に行かれる方はぜひ参考にしてみてくださいね~。

 

深谷駅周辺

 

▼駅前にある渋沢栄一の像

f:id:shirahashi0531:20180623143055j:plain

 

▼からくり時計

f:id:shirahashi0531:20180623143237j:plain

同じく駅前にあるからくり時計は、普段はふっかちゃんがくるくる回転していますが、毎時00分になると渋沢栄一が現れます。

 

f:id:shirahashi0531:20180623143423j:plain

f:id:shirahashi0531:20180623143500j:plain

両手に持っているのは青い目の人形と市松人形。

1927年日米友好を願い、アメリカから日本へ青い目の人形が贈られ、日本はそのお返しに市松人形を贈っています。

アメリカの宣教師シドニー・ルイス・ギューリックが人形交流を両国に呼びかけ、日本側で人形の受け入れに尽力したのが渋沢栄一でした。

市松人形は現在でも度々日本へ里帰りをしています。

 

www.shiratabihashi.com